歯周病と妊娠について
今回は歯周病と妊娠についてお話します。
一般に妊娠すると歯肉炎にかかりやすくなるといわれています。
これには女性ホルモンが大きく関わってくるといわれており、特にエストロゲンという女性ホルモンがある特定の歯周病原細菌の増殖を促すこと、また歯肉を形作る細胞がエストロゲンの標的となることが知られています。
そのほか、プロゲステロンというホルモンは炎症の元であるプロスタグランジンを刺激します。
これらのホルモンは妊娠終期には月経時の10~30倍になるといわれており、このため妊娠中期から後期にかけて妊娠性歯肉炎が起こりやすくなるのです。
ただ、基本的には歯垢が残存しない清潔な口の中では起こらないか、起こっても軽度ですみますので、妊娠中は特に気をつけてプラークコントロールを行いましょう。
油断すると出産後に本格的な歯周病に移行する場合もありますので、注意が必要です。
妊娠中のプラークコントロールについてですが、つわりの期間中で歯磨きがしにくいときは、小児用の歯ブラシに替えてブラッシングを行うなどの工夫をしておき、妊娠の状態が五ヶ月目くらいに入り安定したら、歯科医院にて虫歯や歯周病のチェック、またさらに妊娠中の歯磨きのポイントの指導などを受けるとよいでしょう。
もしも歯周病や虫歯が見つかった場合は、産婦人科の医師との相談のうえ治療を行います。
一般的に妊娠2~3ヶ月の間は応急処置を行い、妊娠5~7ヶ月の間であれば一般成人と同じように治療を進めてよいといわれています。
近年、さまざまな歯周病の全身への関与がわかってきました。
なかでも妊娠している女性が歯周病に罹患している場合、低体重児および早産の危険度が高くなることが指摘されています。
これは口の中の歯周病細菌が血中に入り、胎盤を通して胎児に直接感染するのではないかといわれています。
その危険率は実に7倍にものぼるといわれ、タバコやアルコール、高齢出産などよりもはるかに高い数字なのです。
歯周病は治療可能なだけでなく、予防も十分可能な疾患です。
生まれてくる元気な赤ちゃんのために、確実な歯周病予防を行いましょう。
尾立歯科医院
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